こんにちは!「ゴールは共感」がテーマなサッシ(@3104nkmr)です。
以下のような学校だったら、行ってみたいですか?
- テスト・評価なし!そもそも、カリキュラムなし!
- クラスもなし!先輩・後輩なんて無し!
- ずーっと寝っ転がってゲームしててもok!
これ、「東京サドベリースクール」において全て本当のことなんです。
なんだか楽園な感じですよね〜。
でも、実際に足を運んでみて、ある意味これっぽっちも「自由」では無いことが分かりました。
見学会に参加していた現役の中学校の先生が漏らした、こんなセリフが印象的です。
「ここ、公立校よりずっと厳しいですよね」
自由に勝手気ままに過ごしたい人には、まったく向いていません
「一般見学」の参加者5名で自己紹介して、質問タイム
2018年の7月31日。
東京サドベリースクールの「一般見学」にお邪魔して来ました。

参加者は僕を含めて5名。
お子様の育つ環境のヒントを求めて参加した人もいれば、僕のように「スタッフ」としての関わりに興味を持つ人も居たという具合です。
職業は、「保育士」「看護師」「教師」といった具合で、子どもに携わる仕事の人が多く集まりましたね。
定時の10:30になると、東京サドベリースクールスタッフの 杉山さん を囲んで、参加者の自己紹介から始まりました。
軽く自己紹介を回し終わると、参加者それぞれの「質問」に杉山さんが応える形で会は進んで行きます。
今回は、以下のような質問が集まりましたよ。
- どういう子どもたちが入学しますか?
- 子どもや親が、どんな変化をしていきますか?
- 子どもが幸せな選択をするのに、大人はどんな関わりをするのが良いと思いますか?
- スタッフとしての喜びは何ですか?
- 子どもたちの活動の様子とスタッフの関わりを見たいです
- 子どもたちの卒業後はどんな感じ?
- 最近のハッとしたエピソードを教えてください
和やかな雰囲気の中で一つ一つ丁寧に応えていってくださり、充実した時間でした。
「何をしてもいい」環境ほど苦しいものは無いかもしれない
杉山さんと参加者のやり取りで、現役の教員の人が言った「ここは公立校よりずっと厳しい」というセリフが印象に残っています。
たしかに、この東京サドベリースクールには、カリキュラムもクラスもありません。
毎日ずーっと料理していてもいいし、ひたすらYouTubeを観ていても構わないんですよ。
やろうと思えば何でも出来ます。でも、「自分から言わなきゃ誰も何もしてくれない」というのも事実です。
誰かがぼーっと座って退屈そうにしていても基本的に誰も気に留めません。(さすがに4歳の子が大泣きしていたら「どうしたの?」という声かけ等はするそうですが)
事実、多くの子は本当に「暇を持て余す」時間が多く、自分は何をすればいいのか分からなくて泣き出してしまう子もいるそうです。
杉山さんは「好きなことが見つかるっていうのが難しかったりする」とも言っていました。
誰かが「自分のやるべきこと」を与えてくれることに慣れている人にとっては、これほど苦しい環境は無いかもしれませんね。
一人で勝手気ままに過ごす「自由」はここには無い
また、この東京サドベリースクールは「ミーティングで決めたルールには全員が従う」という前提が存在しています。
スクール内で好きなことを好きなだけしてokなのですが、「みんなで決めたルール」は絶対的なものです。
例えば「掃除」。
実は開校当初は掃除のルールは一切無かったのですが、あまりにも日々スクール内が汚れていく様子だったため、みんなで話し合って「掃除の時間」が設けられたそうです。
みんなで話し合って決めたことなので、掃除の時間は必ずみんなで掃除をします。「私はまだゲームしていたい。だって私の自由でしょ!」というのは通用しません。
そのルールが気に入らなければ、「ルールを変える提案」をする権利を行使することが出来ます。
実際に、時間を守るのが苦手な子どももいて、以前「朝、何時までにスクールに来る」というルールの変更の提案があったそうですよ。(残念ながら否決されたそうですが)
サドベリースクールには「子どもたちが好き勝手に、わがまま放題に遊び呆けている」みたいなイメージがよく付いて回っていますが、絶対そんなの無理ですね(笑)
そういった「自由」はここにはありませんでしたよ。
東京サドベリースクールの本質は「自由」じゃなくて、「自立」だった
自己紹介や質問タイムが終わると、続いて「学校紹介」の時間に移りました。

スライドを使って、スタッフの杉山さんが様々なエピソードを交えて「東京サドベリースクールとは何か」を説明してくれましたよ。
例えば、以下のようなコンセプトが存在しています。
- 【東京サドベリーの理念】
- あるがままの自分を信頼し、選択することで自分の人生を生きる
- 自由と社会性の調和
- 自分の人生を自分でデザインする自由
- 皆のことは皆で話し合って決める民主主義
- 学年やクラス分けで区切らない異年齢
【教育の特徴】
僕はずっと教育に携わってきたので、「サドベリー」について本で得られるくらいの知識はあったし、「東京サドベリースクール」の存在自体は以前より知っていました。
でも、今回初めて実際に現場で「東京サドベリースクール」のことを教えてもらって、あるキーワードが強く印象に残りました。
それは「コミュニティ」です。
理念や特徴の中に、実は「社会性」「民主主義」といった言葉が繰り返されていますよね?
杉山さんも、東京サドベリースクールの理念について「みんなで過ごすコミュニティ」と言っていました。
これ、サドベリーについて最も誤解されている点なんだろうなーと感じます。僕もぜんぜん気が付いていませんでした。
どうしても「子どもたちがそれぞれ好き勝手に遊び回ってるところ」みたいなイメージがありますが、本当は「コミュニティの一員になる」という大事な要素があると分かりました。
コミュニティの一員としての責任を全うしながら、自分の好きなことを追求していくこと。
それを一言で表せば「自立」です。
東京サドベリースクールの存在意義は「自立する人と社会が育つ学校」だと杉山さんは言っていました。
もちろん自立や成熟への定義はいろいろありますが、僕は「社会(コミュニティ)との調和を図りながら、自分(とその家族)の幸せを追求できること」だと思っています。
本質は「自由」じゃなく「自立」だっていう点は、まさに目からウロコでしたよ。
あえて何かすることは無いけれど、関心を寄せている人がいるという安心感
最後に、スクール内を案内してもらいつつ、参加者が自由に動き回れる「見学タイム」を設けてもらえました。
以下のような場所がありましたよ。
- アートルーム(卓球もできる)
- 静かに過ごす部屋(お隣の住民と隣接)
- 真ん中の部屋
- おもちゃ部屋(ドラムセットもある)
- キッチン
- ダイニング(壁に「スクールの決まりごと」が貼ってある)
- リビング
- 庭(木登りできる)
ちなみに、「ランチタイム」は存在しません。
いつ食べてもいいし、食べなくてもいいし、2回食べてもいいそうです(笑)
どの部屋にも子どもたちが自由に出入りしつつ、この時は1階のリビングに最も集まっていました。
実際に、スマホやタブレットを片手にゴロゴロしてる割合が高かったですよ。
僕はちょっと早めにアートルーム(今回の見学会の会場)に戻ったんですが、そこで何気に杉山さんから「スタッフの意義」を聞けて、それがすごく良かったです。
それは、「あえて何かすることは無いけれど、関心を寄せている人がいるという安心感」でした。
これ、自立に向けて最も大切なことだと思います。
僕は自立には「自分と向き合う時間」と「認められている安心感」が必要だと感じています。
「生徒に教えるべきこと」が盛り沢山で、どうしても「評価」をしなければならない公立学校では、 なかなか難しい点ですよね〜。
自立への歩みにとって、僕は本気で「何もしない時間」や「一人でいる時間」や「没頭する時間」が欠かせないと思っています。
数日・数ヶ月どころか、数年でも安心してそれが出来るところ。それがこの場所なんだろうな〜と感じました。
さいごに
スクールの会議の時間ギリギリまで見学会を延長してもらい、この日の見学会は終了しました。
「東京サドベリースクール」は、たしかに家に居るように好きなだけ好きなことを出来るけれど、決して自分の部屋・パーソナルスペースではありませんね。
あくまでここは「公共の場」だと感じました。一つのコミュニティであり、確かなルールがある。
まぁ、寝っ転がっておやつ食べながら好きなだけYouTube見ていられる最高の「公共の場」なんですが(笑)
一人で勝手気ままに過ごす「自由」を求めている人には「やめとけ」と言いたいですね。
あと、意見は言わないけど、文句は言うタイプの人。絶対に合わないです。
お互いに意見を出し合って変えていける「自由」を求めている人には最高にピッタリだと思いますよ。
文字通り全員が対等な人間関係の中で、とことん自分と向き合って「自立」したい人には心からおすすめです。
具体的な1日の流れや運営面、これまでのスタッフさんのことなどを詳しく教えてもらいましたよ。興味ある人は「お茶会」にぜひ行ってみるといいですよ!